出来高と売買代金は、どちらが重要なのか
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資産としての株式投資。
換金性を考えると、出来高(できだか)が大きな銘柄でないと、資産価値が減る。
不動産などは、買い手が見つからないと売るに売れない。
たとえば数千万もする物件になると、買い手も限られてしまうから、何週間も何ヶ月も、売れずに換金できないことも多い。
換金しやすさを経済学では「流動性」と呼ぶが、不動産は流動性が低い資産だと言うことになる。
もちろん好立地の不動産であれば、いくらでも買い手は見つかるだろうけれど。
株式だって、出来高や売買代金がないと、資産としてはダメ
一方、流動性が高いのが株式だ。
売りたいときに売れるのが株式の良いところだが、しかし売りたいときに買ってくれる人がいなければ、売れないのは同じだ。
そこで重要な指標となるのが、出来高だ。
一日の出来高が多い銘柄は、買いたいときに買えるし、売りたいときに売れる。
変な話、数千万円分の株数であっても、出来高が多い銘柄であれば、一日で売却することが出来る。
換金性・流動性で考えれば、不動産より株式の方が、はるかに株式の方が優れている。
ただこれは、出来高が多く、売買代金も多い銘柄に限った話だ。
出来高と売買代金、どちらが重要か
前回も書いたとおり、出来高が限りなくゼロに近い銘柄というのもある。
東証全体でも、出来高が一日に10万株以上あるのは、1,300銘柄しかない。
東証全体で、およそ3,500社の企業が上場しているから、残りの2,200社は取引が閑散としていて、換金性に劣る。
では、出来高さえ多ければ、それで資産株としてOKなのかというと、そういうわけでもない。
たとえば、東証全体の出来高上位ランキングを見てみよう。
東証 出来高上位 週次
これは、2019年秋のとある週の売買代金上位ランキングだが、株価の方は、一ケタもあるし二ケタの銘柄もある。
以前、200円以下の低位株は、資産株としては買えないと説明したが、200円未満の「みずほフィナンシャル」(みずほ銀行グループ)が、第一位に入っている。
株価100円以下の銘柄は、俗に「ボロ株」と呼ぶが、超ボロ株もこの出来高ランキング上位に入っている。
こういう低位株や超低位株、ボロ株と呼ばれる銘柄は、株価が安いため、売買される株数が相対的に増える。
だから出来高が多いからと言って、優良株とは限らない。
たとえば2,000円の株が1万株売買されれば出来高は1万株だが、200円の株が10万株売買されれば、売買代金としては同じだが、出来高では後者の方が10倍も多いと言う事になるし。
では、同じ週のとある一日の売買代金ランキングを見てみよう。
東証 売買代金上位 日次
売買代金ランキングで見ると、株価4ケタや5ケタの銘柄がずらっと並んでいる。
たまに3ケタの低位株がトップ20に入ってくるような日もあるのだが、たいていは4ケタ以上の銘柄だ。
一株の株価が数千円、数万円レベルの銘柄で、売買代金が一日に百億円もあるような銘柄は、年金や生保・損保などの機関投資家も売買している銘柄で、資産価値が高い。
一日に百億円以上も売買されている銘柄であれば、数千万円程度の株式は問題なく売買できるため、資産株もすぐに換金できてしまう。
さらに手数料も、ネット証券なら5万くらいで済むし。
ということで、資産株という視点で見ると、一日の出来高よりも売買代金の方が重要だと言うことになる。
目安としては、一日に自分の資産株の時価総額の、100倍以上の売買代金があれば、通常は問題なく売却できる。
まあ株式資産が1億円あっても、売買代金上位30位くらいまでの優良株を数銘柄に分散投資しておれば、普通は特に問題なく現金化できるだろう。