増資でも下がらない株は、思惑有り?
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増資発表があると、株価は2割前後下がる。
なぜなら、一株利益が下がるから。
株数が増えるのに、利益が変わらなければ、一株当たりの利益は当然下がる。
となると、投資利回りが悪くなるため、買いが減って売り優勢になる。
さらに「第三者割当増資」で、新株を発行する場合、新株を手にした第三者が、株を市場で処分するから、株価の上昇を妨げることも予想される。
なので増資発表があったら、取りあえず株を処分するか、最低でも持ち株数を減らすというのが、セオリーになる。
ただし、増資があっても株価が下がらない場合もある。
これはもしかすると、かなり有望かも知れない。
赤字バイオの増資、債務超過企業の増資
赤字会社の増資は、たいてい大きく下がる。
特に赤字バイオ企業の場合は、毎年のように数十億円規模の増資が行われ、上場来安値を更新し続けたりする。
バイオ企業の場合は、新薬開発のために、毎年数十億円くらいは資金が必要なのだ。
そしてその増資を引き受けるファンドがあり、そのファンドが新株を引き受けて、徐々に市場に株を売る。
こういう風に、毎年増資があって上場来安値を更新するようなバイオ企業でも買いがあるのは、一攫千金が期待出来るからだ。
バイオ企業が開発した新薬が上市(じょうし)、つまり医療現場で使われるようになったり、新薬製造販売の権利を大手医薬品メーカーに売れば、爆発的に儲かったりするのだ。
なので、バイオ企業の増資の場合は、株価は下がるモノの、どこかで下げ止まったりする。
一方、倒産寸前、債務超過に陥りそうな企業の増資の場合は、もう「倒産を回避するだけの増資」なので、手を出さない方が無難だ。
こういう場合は、ボロ株に向かっているので、トレンドは下方向になるから、さっさと持ち株を投げて、他の銘柄に再投資した方が良い。
黒字企業の場合、増資で株価が下がらないことも多い
増資でも、株価が下がらない場合もある。
これは増資が、いわゆる「前向きな投資」に使われる目的がある場合だ。
赤字会社の場合は、増資の目的に前向きな項目が載っていても、資金繰りに困ればそちらに流用されてしまう。
しかし黒字で、本業がそこそこ上手く言っている企業の増資は異なる。
というのもこれは、新規事業を立ち上げるための資金集め(エクイティファイナンス)だからだ。
黒字企業でも、増資で株数が大幅に増えれば、一株当たり利益は減るので、配当目当てに株を持っている人に取っては痛い。
ところが黒字であっても無配の企業であれば、配当目当てのホルダーは少ない。
それよりも儲かりそうな新規事業でビジネスを拡げて、期待値を高めてくれた方が良いと思っている大口投資家も多いわけだ。
まあ、第三者割当増資をする場合、引き受けてくれる第三者に、今後のビジネスプランは説明しているはずで、近々新しいニュースが出て株価が急騰することも多いしね。
そうして株価が急騰したときに、第三者が新株を引き受けて市場で処分するわけだ。
増資発表後のGFAの日足
※2021年5月25日のチャート。
上は、決算発表後に株価が上がっていたのに、最大希薄化100%の第三者割当増資を発表したGFAの日足チャート。
たまたま持ち越していたので、増資発表で下がると思って株を投げたら、なんと投げたところが底になってしまって、投げ損になったケース。
残念。