コロナショックで大注目 新規失業保険申請件数とは

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ウイルス 防疫

新規失業保険申請件数(The number of new unemployment insurance application)は、雇用関係の先行指標として注目されるアメリカの統計だ。

 

米国経済、すなわちアメリカのGDPの7割は、個人消費で構成されているので、個人の懐具合は景気を大きく左右する。

 

個人の懐具合は、雇用者数や賃金率で大きく変わるので、雇用統計の善し悪しは、株式市場にも毎月大きな影響を及ぼす。

 

なので毎月発表されるアメリカの雇用統計は、株式市場関係者にも注目されている。

 

ところが何か大きな経済的なショックがあった場合、月一回の発表では刻々と変化する状況は分からない。

 

一ヶ月前くらいの数値を知っても、「今、どうなっているか」は分からないからね。

 

そこで激動期には、毎週発表される新規失業保険申請件数が、注目されるわけだね。


 

前代未聞!新規失業保険申請件数 600万!

景気悪化を迅速に示す指標は、「新規失業保険申請数の増加」だ。

 

新規失業保険申請数は、毎週発表される指標で、急激な変化をも示す。

 

これが新型コロナウイルスがアメリカを席巻した2020年4月に、とんでもない数値をたたき出した。

 

なんと600万件を超えたのだ。

▼米新規失業保険申請件数は661万件、予想上回る-3週連続で高水準
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-09/Q8ITJJDWLU6N01

 

米労働省が9日発表した先週の新規失業保険申請件数は661万件と、3週連続で桁外れの高水準となった。

 

3週間の合計は約1680万件で、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停止の影響が、あらためて浮き彫りになった。

 

2020年3月14日付けでは21万件→28万件に増加。

 

3月21日付けでは、28万件→328万件に急増。

 

3月28日付けでは、さらに328万件→686万件。

 

4月4日付けでは、686万件→660万件。

 

通常、新規失業保険申請件数は、40万件くらいが景気の分岐点だと言われる。

 

好況時には、20万件台くらいになって、こういうときは賃金(時給)の上昇も起こる。

 

ところが2020年春のコロナショックでは、たった一週間で300万件も増えた。

 

しかも翌週はさらに600万件台になり、翌々週もその水準が続いた。

 

たった三週間で、失業者が1,600万人も増えたのだ。

 

これは過去最悪の記録で、さらにとんでもない数値だ。

 

というのも2008年のリーマンショックの後の世界不況時でも、100万件を超えることはなかったから。

 

リーマンショックは、金融関係のトラブルで、それで金回りが悪くなって世界的に不況になった。

 

しかし経済活動自体は普通に回ってたから、失業者が街に溢れるというような事態にはならなかった。

 

ところがコロナショックは違う。。

 

アメリカの失業保険は、会社都合でクビになった人しかもらえない

工員

 

アメリカの場合、作業労働(肉体労働)のほとんどは、週給制だ。

 

そして仕事がなくなると「来週から来なくて良いよ」と言われて、仕事がなくなる。

 

これを「レイオフ」(雇い止め)と言うわけだが、レイオフされた労働者達は、すぐに失業保険を申請する。

 

失業保険を申請して受理されると、一週間くらいで保険金が振り込まれる。

 

保険金は、雇われていた給料の半分くらいで、受給期間は州によって異なるが12週間くらいだという。

 

ここで注意が必要なのは、アメリカの失業保険は、自己都合退職では支払われない。

 

なのでアメリカの失業保険申請数の増加は、会社都合でクビになった労働者の増加を表すわけだね。

 

それがわずか3週間で、1,600万人だというから、とんでもない事態だ。

 

米国の人口はおよそ3億人で、日本の人口はおよそ1億3,000万人だから、日本で言うとたった3週間で700万人が失業したっていう感じだね。

 

アメリカの労働人口は、およそ1億6,000万人だと言うから、失業率も10%も跳ね上がったことになる。

 

新型コロナウイルスで、失った職の殆どは「サービス業」

中国の武漢から世界中に広まった新型コロナウイルスで、物流が止まり、人と人との触れあいも避けねばならない事態に陥った。

 

これによって多くの人が感染したり死亡した。

 

さらには大勢が職を失うことになったワケだが、失業したのはどういう職種の人なのか。

 

これはもうほぼサービス業だ。

 

サービス業というのは、モノのやりとりがない業態で、在庫が効かないタイプの仕事だ。

 

経済学では、経済価値を形がある「財(ざい:goods)」と形を持たない「サービス」の二つに大きく分類している。

 

さらに経験経済学では、財を「コモディティ(一般的で大量にある、ありふれたモノ)」と、「商品(コモディティを組み合わせたり、材料として加工したもの)」に分類している。

 

一方、サービスは三つに分類していて、次のようになっている。

  • 「配達・代行(飲食店、宅配便など)」
  • 「経験(娯楽など)」
  • 「変身(美容室、教育など)」

 

サービスというのは、サービスを受けたい人と、サービスを提供したい人が、マッチングすることで生まれる経済価値で、人と人が触れあうことが前提になって居るモノが多い。

 

ところが新型コロナウイルスの流行を抑えるためには、人と人が触れあわない方が良いので、こういうサービス業は成り立たなくなってしまう。

 

そしてウイルス騒動が沈静化したとしても、今失った売上げは、後日取り返せるものでもない。

 

スーパーで売っているような生活必需品は、工場で作りすぎても在庫が効くし、巣ごもり消費で売れ行きも上がる。

 

けれど相対(あいたい)で行うサービスは厳しいし、特にお客さんを店舗に呼び込むタイプのサービス業は、壊滅的だ。

 

もっと具体的に言うと、理容室、美容室、英会話教室、学習塾、テーマパーク、映画館、繁華街の飲食店…

 

これらのビジネスに関わっている業態は、殆どが大きな影響を受けることになるね。

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