投資利回りが良い=業績が良い ではない
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資産株として銘柄を見る時、投資利回りが高い方が良いように錯覚しがちだ。
しかしこれは大変な危険な見方だ。
特に投資利回りが常に高い銘柄は、注意が必要だ。
というのも、投資利回りが良い銘柄には買いが入りやすく、しかも売られにくい。
そのため株価が上がって、逆に投資利回りは下がって、3%前後で均衡してくるハズなのだ。
なぜ大企業の株式投資利回りが均衡するのか?
実際、日本の時価総額上位企業の投資利回りを見ても、投資利回りは4%あれば高い方だ。
時価総額が大きな大企業の株式投資利回りが、3%ちょっとで均衡するのには、理由がある。
というのも機関投資家というのは、株式だけに投資するわけではない。
株式投資と同時に、国債や社債などの債権にも投資をしており、株式投資と債券投資の利回りを比較しながら売買しているのだ。
そのため、株式投資利回りが高くなれば債券を売って株式を買う。
機関投資家が株を買えば株価は上がるから、相対的に株式投資利回りが下がる。
投資利回りが下がれば、株は買われにくくなるため、そこで均衡する。
たとえば株式投資利回りが4%になると、その株に買いが入って株価が上がり、利回りは3%まで下がる。
株式投資利回りが4%以上に上がる
↓
その銘柄に買いが入って株価が上がる
↓
株価が上がると、相対的に利回りが下がる
↓
投資利回りが3%くらいで均衡する。
一方、債券は売られて価格が下がるため、債権利回りは少し上がる。
債権利回りが上がると、債券を買おうという動きも出てくるため、こちらも均衡する。
因みに株式投資は、企業が不祥事を起こしたり、倒産したりするリスクがある。
そのため、リスクプレミアムを考えて、債権は利回りは1%くらいでも買われる。
投資利回りが高い=良い会社 ではない
株式市場では、日常的に売買が行われているため、大企業の株の投資利回りは3%前後で均衡する。
企業の業績が上がって配当が増えれば、利回りが上昇するため、株が買われて株価が上がる。
株価が上がると、新しい株価で計算した投資利回りは下がるため、それ以上は株が買われない。
逆に業績が下がって配当が減れば、利回りが下がるため、株が売られて株価が下がる。
株価が下がると、新しい株価で計算した投資利回りは上がるため、株が売られるのが止まる。
こういう感じで、通常の銘柄の株式投資利回りは、3%くらいで釣り合うわけだ。
ところが中には大企業銘柄でも、5%くらいの投資利回りの銘柄がある。
そこで「これは大チャンス!」とばかり買いに入ると、失敗する。
というのも常に投資利回りが高い銘柄というのは、株価が常に下がっているからだ。
投資利回りがずっと高い銘柄 = 株価が右肩下がり
※ヤフーファイナンスより作成
通常、投資利回りが高い銘柄は買われて利回りが下がるのだが、逆に企業業績がジワジワ下がっていくため株価が下がり、そのせいで投資利回りが高く保たれてしまうのだ。
こういう銘柄は、投資利回りに惹かれて株を買ってみたモノの、株価がドンドン下がっていくから、資産株にはならない。
高投資利回り=良い会社 と言うわけではないことは、肝に銘じておこう。
良いのは、株価が上がりつつ、投資利回りも3%くらいを保っている銘柄だ。
こういう銘柄を初期に掴むと、年々投資利回りが高くなる。
たとえば株価が2倍になれば、最初に買った株価で計算した投資利回りも2倍になるのだ。