不況に強い企業の条件とは?
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不況に強い銘柄も、資産株投資には押さえておきたい。
不況になると、家計(世間の金回り)が悪くなり、人々は消費を控えるようになる。
活況時には飛ぶように売れていた高額商品も、パタッと売上げが落ちたり、酷いときには売上げがなくなったりする。
また日本経済は海外依存度が高い。
そのため海外の景気に、大きな影響を受ける。
そのため世界経済のリセッション(景気後退)時には、輸出企業の業績は落ち込むし、海外依存度の高い企業の業績も落ち込む。
海外でも不況で買い控えが起こるので、購買力が落ちて売上げが減るからだ。
ディフェンシブ銘柄も、一筋縄ではいかない
こういう不況時にも強い銘柄のことを、一般的にディフェンシブ銘柄と呼ぶ。
ディフェンシブ銘柄とは、景気の良し悪しにかかわらず、一定の需要がある産業の銘柄で、例えば
- 電力会社
- ガス会社
- 鉄道会社
- 食品産業
- 医薬品メーカー
- 医療関係産業
- インフラ整備
- メンテナンス産業
- 警備関連企業
などが挙げられる事が多い。
ただ、このディフェンシブ銘柄も不況の原因によっては、全然ディフェンシブではなかったりするから要注意だ。
たとえば震災のような自然災害の場合、直接被害を受ける産業は、ディフェンシブではなくなる。
新型コロナウイルス不況の場合は、人の往来やイベントが中止になったりするため、鉄道会社もイベント会社・警備関連も需要が減るため、ディフェンシブじゃなくなるね。
また世界的不況になると、原油価格も下がるし資源消費量も減るから、資源株もダメになる。
原油価格が下がると、それを仕入れて売れば儲かりそうなモノだけれど、残念ながら貯蔵施設が満杯で、新たに買うことができない。
倉庫が一杯になって在庫が積み上がると、それ以上買うことができなくなるんだね。
在庫が積み上がったら、川上の生産も縮小せざるを得ず、それが不況が長引く原因だ。
なので資源株を狙うなら、在庫の積み上がりが止まって下がり始めるまでは買えない。
ディフェンシブ銘柄の王道は、「何があろうと消費を減らせない商品やサービスを扱っている企業銘柄」で、例えば医薬品だとか、紙おむつや粉ミルクなどの育児用品だとかくらいだろうね。
東日本震災不況で買われた銘柄とは
たとえば2011年の東日本大震災の際は、電力会社もガス会社も大きな被害が出た。
地震で直接の被害を受けたのは、東京電力や東北電力、東日本のガス会社だが、影響はそれだけに留まらなかった。
というのも福島第一原発事故で、全国の原子力発電所も止めざるを得なかったからだ。
そのため、他地域の電力会社も業績が悪化し、特に原発依存度が高かった関西電力は大きな影響を受けた。
東日本大震災の際に株価が上がったのは、代替エネルギー関連で、風力発電や太陽光発電関連銘柄が急騰した。
また消費電力が小さなLED電球や、LED照明を扱っている企業の株も買われた。
地盤調査会社や、インフラ整備会社の株も買われたね。
また東日本の食品工場が壊滅的な被害を受けたため、東日本に工場を持たない他地域の食品会社の株にも買いが入った。
震災で被害を受けなかった企業に、代替需要があると考えられたわけだね。
新型コロナウイルス不況で避けるべき銘柄は?
2020年の新型コロナウイルス不況の際には、感染が拡がらないように世界的に人の移動が制限された。
そのため、空運や旅行関連産業が打撃を受けた。
日本の例だと、観光地を訪れる外国人観光客は皆無になり、旅客機はガラガラになった。
中国や韓国からのインバウンド需要も激減し、ホテルや旅館も閑古鳥。
なので、旅行関連、旅客機、インバウンド関連銘柄は、全滅だ。
また大会場で催されるライブやコンサート、集会などは、自粛や中止に追い込まれた。
オフィスでもコロナウイルスの伝播を防ぐため、可能な限り在宅勤務に切り替えられた。
こうなると、出張などもってのほかだから、ビジネスホテルもガラガラで、宿泊サイトでは信じられないような低価格で空室が販売された。
半額どころか8割引のような部屋がゴロゴロしていて、しかも買い手がつかない状態が続いた。
つまり、ビジネスホテルや出張関連会社、お土産会社も危ない。
一方、マスクやトイレットペーパーなどの消耗品、在宅勤務のためのテレワーク関連、家庭学習のためのネット学習塾、巣ごもり需要のためのパスタなどが売れた。
つまり、家庭内で消費される商品が、ウイルス騒動で売れたわけだね。
「巣ごもり需要」なんて呼ばれる。
巣ごもり消費関連銘柄
巣ごもり消費では、在宅消費が増えるため、配送業も仕事が増えることが考えられる。
運輸・配送業
日本通運 9062
ヤマトホールディングス 9064
丸和運輸機関 9090
Amazonの宅配を担当
ファイズホールディングス 9325
Amazonの宅配を担当。
コンテンツ関連
外出して楽しむ娯楽の替わりに、在宅で映画や番組視聴が増えそうだ。
ネットフリックスやAmazonプライムなどの、動画配信サービスの加入者が増えることは容易に想像できる。
サイバーエージェント 4751
サイバーエージェントは、ゲーム子会社のサイゲームスを持っており、ゲームの利用者が増えることも考えられる。
毎年200億円弱の赤字を出しているAbemaテレビの視聴者数が増え、バックナンバーを楽しむための有料会員やCM収入が増え、赤字幅が急激に減ることも考えられる。
WOWOW 4839
スカパーJSAT 9412
USEN-NEXT 9418
東映アニメーション 4816
ゲオホールディングス 2681
UUUM 3990
Jストリーム 4308
マンガ配信サイト関連
ビーグリー 3981
and factory 7035
Amazia 4424
パピレス 3641
Link-U 4446
★詳しくはこちら→巣ごもり消費で上がる銘柄 備蓄しておくべき日用品リスト - テーマ株入門 株のテーマをわかりやすく解説中
テレワーク 在宅勤務 関連銘柄
日本エンタープライズ 4829
アメリカの遠隔会議システムの最大手ZOOM(ズーム)社と代理店契約を締結。
ソリトンシステムズ 3040
テレワーク導入の際に問題になる情報漏洩リスクに対し、セキュリティーソリューションを提供。
官民共に導入実績も増えつつあり、業績に貢献。
NECネッツエスアイ 1973
自社の育児中の女性社員に、テレワークを導入するための実証実験からスタートし、その後は、全社員対象に在宅勤務の仕組みを導入。社内で培ったテレワークのノウハウを、「働き方改革」の一環として外部販売している。
ブイキューブ 3681
電話ボックス型ワークスペース「テレキューブ」を提供。三菱地所と共同で、駅構内や駅地下のスペースに、電話ボックス型ワークスペースを設置し、働き方改革などでの需要を目論む。
ジャパンシステム 9758
テレワーク導入と、社内のパソコンへのリモートアクセス導入支援など。
SAMURAI&J PARTNERS 4764
総務省が地方創生の一貫として実施する「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」に採択。
テラスカイ 3915
お笑いタレント厚切りジェイソンの勤務先としても有名。テレワーク時のコミュニケーションプラットフォーム「mitoco(ミトコ)」を手掛ける。
ソフトフロントホールディングス 2321
テレビ会議ソフトなどを手掛ける。クラウド自動電話サービス「telmee(テルミー)スクリプトコール」も、オフィスの雑務を軽減し、働き改革に貢献。
★詳しくは→テレワーク 在宅勤務 関連銘柄 新型コロナウイルスで再注目 - テーマ株入門 株のテーマをわかりやすく解説中