とうとう本格化し始めた脱工業化のパラダイムシフト。
これは80年代からたびたび議論されてきたことですが、
とうとう本格的な変化が顕在化してきたようです。
未来学者のアルビン・トフラーは「第三の波」という著書で、
・農業による人類社会の大変化(第一の波:紀元前~)
・工業・産業革命による人類社会の大変化(第二の波:18世紀~)
という大変革の後に、脱工業化の大変化
「第三の波」が来ると予言しました。
脱工業化とは何か?というと、工業がなくなるということではなく、
工業中心の産業形態からそうでない経済に変化するということです。
つまり、
狩猟・採取中心の経済
→ 農業中心の経済
→ 工業中心の経済
→ サービス中心の経済(情報化)
というふうに、産業の中心が移っていくというわけなんですね。
なぜこういう風に中心が移っていくかというと、
技術が発展して人が余るからです。
つまり
農業の生産技術が上がって生産性が高まる(イノヴェーション)
→ 少人数で生産が可能になる
→ 農業で人が余る
→ 商工業に人が流れ込み、発展する
→ 工業の生産技術が上がって生産性が高まる(イノヴェーション)
→ 少人数で生産が可能になる
→ 商工業で人が余る
→ サービス業に人が流れ込み、発展する
というわけですね。
もちろんサービス業でも、イノヴェーションが起こっていて、
つまりそれがIT革命と呼ばれるものなんですが、
これが原因で人が余っても行く先はサービス業なので、
今回は省略して書いています。
農業や工業は、資本(土地・機械)を握っている人が強い
さて、パラダイムシフトが起こると、難民が大量にでます。
というのも環境が変わると
それに適応できない人が大勢出てくるからです。
昨年、小林多喜二氏のプロレタリア文学の
『蟹工船』がリバイバルヒットしましたね。
あの中で、なぜ労働者が船の中で
安い賃金でこき使われていたかというと、
農村で人余りになり、農村では食っていけなくて、
他に良い働き場がなかったからです。
農業生産が増える →人口が増える →人余りになる
→ 町に出て安い賃金で働かざるを得ない
→ 低賃金労働を前提とする商工業が発達
ところが農業や商工業というのは、
大きな資本(土地や機械)が必要な産業なので、
それを持っていた地主や工場経営者しか、
経営者になれなかったわけです。
そしてその一方で、低賃金でも働く労働者が山のようにいたので、
地主や工場経営者が労働者に対して圧倒的に有利になりました。
その結果、その強い立場を悪用した
因業(いんごう)地主や傲慢(ごうまん)経営者が
たくさん出てきたわけです。
特に戦前は、農業以外の産業が発達していなかった東北などでは、
悲惨な事件(小作争議)が多く発生しました。
農業以外に産業がない地域では、
どうしてもそういうことになりがちです。
そしてそれが暴動につながったり、
戦争につながったりするわけです(マルサスの人口論)。
こういうのを『分権化した労働市場』といいますが、
それもこれも農業や工業が
土地や機械(資本)を必要とする産業だったからですね。
※ちなみに今の中国の発展が、この段階です。ただし中国は共産主義で土地はすべて国有ですので、
共産党政府や西側諸国の銀行にコネがあるというのが、
大きな資本になっているところが独特ですが。
そして当時の日本には、労働者の逃げ場所がなかった。
本当は、東京や西日本に行けば仕事はあったんですが、
東北の労働者はそういう環境変化を拒んだ。
だから悲惨になった。そこが問題だったわけです。
※興味があれば、私の農業のサイトを見てください。
『小作争議の西東』↓
現在の状況は、それと状況がやや似ています。
派遣切りで仕事にあぶれた人は製造業の労働者ばかりです。
そして逃げ道(別の仕事)はたくさんあるにもかかわらず、
仕事を探さない。
彼らは、職種を変えれば食っていけるのに、
それに適応しようとしない。
だからこれはパラダイムシフトだな、と感じたわけです。
